サクランは、スイゼンジノリから抽出される新規多糖類で、2006年に北陸先端科学技術大学院大学・金子研究室の岡島麻衣子博士によって発見されました。
(抽出物質と抽出方法で特許取得)
「多糖類」というと、デンプン、ヒアルロン酸、キサンタンガム(マヨネーズの増粘剤)などが有名ですが、サクランは、自然界では過去に報告の例がない「史上最大の巨大分子」で、「純水で自分の重さの約6000倍の水を吸収する(*1)保水力」も群を抜いています。
また、サクランは、肌に近い生理食塩水でも高い吸水性を維持し、サクランの水溶液を肌に塗ると、細長い分子が均一に広がって、水分をたっぷり含んだ網目状の薄い膜を形成します。
この薄い分子の膜は、乾燥などから肌を保護することもわかってきました。
このようなサクランの特性から、化粧品の保湿剤としての活用が注目されています。
アクアサクラムは、サクランの優れた特性を生かすため、植物由来の成分と、シンプルな成分構成にこだわった、石油系合成物を使わない基礎化粧品を商品化しました。
(*1)サクランの保水力に関する数値は、北陸先端科学技術大学院大学調べ
▲水を吸ったサクラン
▲編目構造を持つ膜
(AFM画像)
スイゼンジノリは日本固有の淡水性藍藻(らんそう)で、九州の限られた湧水でのみ育ち、
江戸時代から将軍家献上の高級食材として珍重されてきました。
最近では、2010年サッカー・ワールドカップ日本代表チームが「高地では特に鉄分が必要」という理由で、スイゼンジノリとヒジキを南アフリカに持っていったことから、ミネラルの豊富な食品として話題になりました。
スイゼンジノリの学名は、Aphanothece Sacrum(アファノテーケ サクラム)といい、Sacrumは「聖なる」という意味です。
これは、明治時代にスイゼンジノリを世界に紹介したオランダの学者スリンガー氏が、スイゼンジノリの美しい生息環境(熊本市、水前寺・江津湖)に驚嘆し命名したものと言われています。
しかし現在スイゼンジノリは、水質の悪化と水量の減少により、絶滅の危機に瀕しています。野生株はほぼ絶滅したとみられており、福岡県黄金川で養殖されているスイゼンジノリも、生産量が激減しています。熊本県嘉島では、地下水(湧水)を利用した養殖もおこなわれています。